特集 地域で医師を育てる 地域保健・医療研修で何をするか
地域の指導医が語る
診療所で私はこう教えたい
畠山 眞
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1新潟勤労者医療協会 坂井輪診療所内科
pp.417
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100889
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教育活動を行うようになったきっかけ
私の所属する医療法人(2病院4診療所)では,プライマリ・ケアに優れた医師を養成する目的で,1979年より4カ月単位の多科ローテート方式による卒後医師研修の受け入れを行ってきました.診療所研修は1995年から導入されましたが,プライマリ・ケア,地域医療研修に適した場として,診療所は高い評価を得ています.私自身はセンター病院在籍時より研修指導に携わってきましたが,診療所での教育活動は,1999年に現在の診療所へ赴任し,2000年より卒後3年目の医師研修を受け入れたことが始まりです.
診療所研修で伝えたい・教えたいこと
診療所研修の柱は外来診察になるかと思います.広範で多彩な健康問題を対象とし,病像の定まらない初期の段階から対面することが多いため,病院の外来にはない難しさがあります.問題点の明確化,整理,方針決定に際しては,検査よりも医療面接や身体診察の質が問われることが多く,医学的な妥当性,安全性はもちろん,患者さんの思いや生活背景などさまざまな点に配慮することも求められます.組織が小さく小回りが利くこと,診療所と患者の距離が心理的にも物理的にも近いためフィードバックを得やすいことは研修上の利点です.また,外来を連日担当することで,経過を自分自身でフォローできることも利点です.外来では,初診患者さんを中心に受け持っていただくことになりますが,振り返りを重視するなかで,患者さんの目線に配慮した「病だけでなく人を診る」診療態度を身につけ,日常病診療の奥深さ,面白さを味わえる研修にしたいと願っています.とくに医療面接の習熟には力を入れたいと考えます.
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