特集 家庭医のためのウイメンズ・ヘルス読本
プライマリ・ケアにおけるウイメンズ・ヘルスとは―予防医学的観点から
井上 真智子
1,2
1東京ほくと医療生協 北足立生協診療所
2北部東京家庭医療学センター
キーワード:
ライフステージ
,
opportunistic preventive care
,
アクセス
,
女性の持つ役割
Keyword:
ライフステージ
,
opportunistic preventive care
,
アクセス
,
女性の持つ役割
pp.280-285
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100867
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Case
かぜで受診した一児の母
患者:30歳女性.1歳半の女児の母親.
主訴:子どもがかぜをひいており,自分にもうつったようだといって一緒に診療所を受診.感冒症状に対してかぜ薬を希望.
現在,授乳は子どもが寝る前に少し飲ませる程度.喫煙10本/日.妊娠中はやめていたが,産後再び吸いはじめた.夫(35歳)も喫煙者.そろそろ2人目を妊娠したいと思っている.家族歴として実母に高血圧と糖尿病,叔母に乳癌の既往がある.実母は59歳,この診療所に通院しており,日中よく子どもの面倒をみてくれているとのこと.
最終月経の確認,妊娠前ケアとして,禁煙,子宮癌検診,葉酸摂取の勧め,血圧測定,母子手帳で前回妊娠経過の確認を行った.子育て支援として,生活リズムや子育ての不安,日頃の悩みごとはないか尋ねた.家族へのアプローチとして,夫へも禁煙を勧めること,実母に乳癌検診,子宮癌検診の勧めと骨粗鬆症リスクの評価,孫の世話の負担がないか尋ねることなどを今後の課題として念頭におきながら診察した.
日常診療における予防的アプローチ
家庭医は,日頃よりさまざまな年齢層の女性の診療を行っている.その中ですべての女性に対し,女性特有の生理的変化と生じやすい健康問題を認識しながら,常に予防・健康増進を念頭において診療にあたることが重要である.
女性患者は,身体的にも心理・社会的にもダイナミックな変化を経験する.その中で,家庭医ならではのアプローチ,すなわち,継続的な関わりを通して,家族や社会背景を認識し,そのコンテキストに基づいてきめ細やかな対応や教育を行っていくという姿勢が,とくにその有効性を発揮するであろう.
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