特集 妊婦・褥婦が外来に来たらUpdate—症状対応からワクチン・プラネタリーヘルスまで
【各論】
❽ 妊婦・褥婦のSDH
飯塚 玄明
1,2,3
,
向原 千夏
3,4,5
1多摩ファミリークリニック
2千葉大学予防医学センター
3日本プライマリ・ケア連合学会 健康の社会的決定 要因検討委員会
4紀南病院附属 あたわ在宅診療所
5滋賀家庭医療学センター
キーワード:
健康の社会的決定要因
,
SDH
,
社会的サポート
,
母子保健課
,
アクセス
Keyword:
健康の社会的決定要因
,
SDH
,
社会的サポート
,
母子保健課
,
アクセス
pp.1414-1419
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429205110
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CASE
産後に抑うつ状態をきたした1例
患者:24歳、女性。産後6カ月。
背景:夫の仕事の関係で3カ月前に転居。
現病歴:「花粉症の薬がほしい」との主訴で、近所のクリニックである当院を受診した。花粉症についての診療を終えたが、疲れた表情であったため、さらに問診していくと、「最近、夜眠れない」と打ち明けられた。育児が思うようにいかず、気持ちが落ち込み、自分を責めてしまうとのこと。抑うつ状態が疑われた。夫は仕事で帰りが遅く、夫婦の両親や家族は県外在住であり、引っ越したばかりで地域に知り合いもおらず、孤立しているようだった。当院で不眠症や抑うつ状態に対する診療を行うと共に、本人に了承を得て役場の母子保健担当者に連絡し、情報共有した。保健師の勧めで定期的に産後ケア事業が利用できるようになり、また助産師や臨床心理士などの専門職も介入したことで、患者の心身は少しずつ安定していった。
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