JIM臨床画像コレクション
Sister Mary Joseph's nodule(SMJN)
三原 弘
1
,
北 啓一朗
1
1富山医科薬科大学第三内科
pp.742
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100686
- 有料閲覧
- 文献概要
患者は,75歳女性.
“臍部膿瘍”として皮膚科加療中であったが,極度の便秘と腹痛のため,腸閉塞疑いで当科紹介入院となった.理学所見では,臍部に鶏卵大の腫瘤性病変を認めた.表面の一部には壊死を伴っていた(表紙写真・上).その他,左下腹部に限局する反跳痛と腸音の減弱,左鼠径部のリンパ節腫脹を認めた.直腸診では,腫瘤性病変を触知し得なかったが,便潜血ではオルト,グアヤックとも強陽性であった.腹部造影CTでは直腸に造影効果を伴う限局性の壁肥厚を認め,左鼠径部のリンパ節と臍腫瘤にも同様の造影効果を認めた(表紙写真・下).ガストログラフィンによる大腸造影では,直腸Raにapple core signを認めた(写真1).大腸内視鏡で2型の直腸癌と診断,経肛門的にイレウス管を挿入した.その際の病変部からの生検で,well-differentiated adenocarcinomaの診断を得た.イレウス管挿入後も腹痛・炎症所見が改善せず,閉塞性腸炎として緊急手術となった.術中所見では腹膜播種が著明であったため,横行結腸にloop stomaを造設し閉腹された.当初“臍部膿瘍”と思われていた腫瘤は,生検により直腸腫瘍と同様の組織であることが判明し,大腸癌の臍転移巣,いわゆるSister Mary Joseph's nodule(以下,SMJN)と判断した.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.