聖路加国際病院Terminal Care Conference(第30回)
CO2ナルコーシス(?)を呈した進行期乳癌の58歳女性
西尾 梨沙
1
,
堀田 亮
1
,
蝶名林 直彦
1
,
入沢 裕子
1
,
中村 清吾
1
,
上野 まき子
1
,
中村 めぐみ
1
,
西村 直樹
1
,
那須 英紀
1
,
市丸 みどり
1
,
岡田 定
1
1聖路加国際病院
pp.736-741
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100685
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症例呈示
岡田(司会) 本日の症例は,CO2ナルコーシス(?)を呈した進行期乳癌の58歳女性です.プレゼンテーションをお願いします.
西尾(担当医) 患者さんは58歳の女性で,夫と息子さん2人の4人暮らしの主婦の方です.
現病歴としまして,1999年3月に右乳房腫瘤により発見された右乳癌に対し,他院にて同年4月に右乳房切除術が施行されています.術後に化学療法をされましたが,2001年5月に肺に転移を認め,10月にはホルネル症候群を発症されました.同年11月に当院での治療を希望されて外科に紹介受診となりました.外来にて化学療法を施行し,同時に当院の緩和ケア科も受診し,右上肢の疼痛・腫脹などに対して外来でフォローアップされていました.
2002年8月に多発性の肺転移による呼吸困難が出現し,在宅酸素療法を開始しています.さらに化学療法を続けましたが,2003年2月中旬よりふらつきが認められ,脳転移も指摘されたので,精査・加療を目的に,2月25日に入院となりました.
入院後の経過ですが,脳転移に対しては全脳照射を行いました.神経学的に悪化を認めず,経過が良好でしたので,放射線治療を2回残した時点で一度外泊されています.3月30日に外泊から帰院され,30日未明にトイレに行ったところ,突然呼吸困難が出現ました.胸部のCTにて肺動脈主幹部に大きな塞栓を認め,肺塞栓症(pulmonary embolism : PE)の診断でICUに入室されています.抗凝固療法を開始し,徐々に血中酸素レベルおよび全身状態の改善を認めたため,4月3日に一般病棟にトランスとなっています.
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