臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
IX.代謝・栄養障害
糖尿病の薬物療法
189.静脈栄養より経口摂取に切り替える際のインスリン投与法
北村 信一
1
Shin-ichi Kitamura
1
1東京都済生会向島病院
pp.2514-2515
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218730
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症例
35歳,男性.罹病13年の糖尿病患者で,身長169.5cm,体重66kg.網膜症(Scott II b),腎症(常在性蛋白尿++〜+++.血清蛋白濃度7.2g/dl,血液尿素窒素27mg/dl,クレアチニン1.4mg/dl)および神経障害(ASR消失,起立性低血圧あり)を合併している.1,600kcalの糖尿病食とNPHインスリン10単位で治療し,空腹時血糖値103〜133mg/dl,ヘモグロビンA110〜11%,尿糖1日量1〜2gにコントロールされていた.
昭和58年1月30日夕食後に胃部不快感と嘔吐あり,以後,食思不振,嘔気が続き摂食不十分となり,自分でインスリン注射を中止.2月4日入院時の血糖365mg/dl,尿アセトン体(+),胃X線撮影でバリウムの排泄遅延を認め,軽いケトアチドーシスを伴う糖尿病性胃症と判断,禁食とし経静脈栄養補給と速効性インスリン分割注射を開始した.
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