カラーグラフ 境界領域シリ-ズ
トキソプラズマ症
大内 広子
1
1東京女子医科大学産婦人科
pp.1178-1179
発行日 1971年12月10日
Published Date 1971/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204527
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トキソプラズマ症(以下ト症と略す)は人畜共通伝染病で,病原原虫Toxoplasma gondiiは広範囲の哺乳類や鳥類にみいだされている。このものはすべての生体細胞に親和性を有し,急性期には侵入局所の組織細胞から血流中に入り,全身臓器をおかし,慢性期となると抵抗性の強いチステを形成し,主として中枢神経系,筋肉臓器中に侵入,種々な病害を与え,その経過は無症状なものから,重篤な全身症状をしめすものと多種多彩である。
「ト」症の感染には先天性のものと後天性があり,感染経路は先天性は胎内感染(経胎盤感染),後天性は接触感染(経皮感染),経口感染,経気道感染などである。その感染源としては豚,牛などの食肉,犬,猫,鳥などの唾液,排泄物,とくに最近は猫の糞便が重要因子といわれている。最も有力な感染路は外界よりの刺激や胃酸に対して比較的抵抗性の強いチステ型虫体の経口的摂取である。
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