特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて
10.感染症
トキソプラズマ症
吉田 和秀
1
,
安藤 靖恭
1
1北里研究所病院眼科
pp.216-221
発行日 2007年10月30日
Published Date 2007/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102031
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はじめに
トキソプラズマ症は,世界に広く分布するトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)が細胞内寄生することにより発症する人畜共通感染症である。1908年,NicolleとManceauxがヤマアラシの1種から本虫を発見した。1970年にHutchinsonら,Frenkelらの研究により,終宿主はネコであり,ヒトや他の動物は中間宿主であるという生活環が解明された。
全世界で約5億人が感染しているが,不顕性感染が多い。年齢とともに感染率は上昇し,日本では成人の20~30%が感染している。近年感染率が低下傾向にあり,それに伴い内因性ぶどう膜炎の原因としては減少しつつある。一方,最近欧米ではAIDS患者における顕性化が注目されている。AIDS患者では臨床症状が多彩であり,日本でもAIDS患者の増加に伴い,そのような症例が増加する可能性がある1~3)。
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