連載 この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症・Vol.3
赤痢アメーバ症(海外には行っていないのにどうして?)
倉井 華子
1
Hanako KURAI
1
1静岡県立静岡がんセンター感染症内科
キーワード:
Entamoeba histolytica
,
腸管アメーバ症
,
アメーバ性肝膿瘍
,
栄養体
,
シスト
Keyword:
Entamoeba histolytica
,
腸管アメーバ症
,
アメーバ性肝膿瘍
,
栄養体
,
シスト
pp.186-191
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27702186
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
赤痢アメーバは寄生虫の一種である原虫を経口摂取することにより感染が成立する.無症候病原体保有者が多く,10%程度のものが発症する.感染経路は途上国などで水や食事から感染する経路と性交渉で感染する経路が主である.近年は国内で性交渉をきっかけに感染する例が多い.海外渡航歴のない赤痢アメーバ症を診断した場合には他の性感染症の検索も行う.病型は腸管アメーバ症と腸管外アメーバ症に大別され,前者では下痢・腹痛・血便などの症状を認め,後者では最も多いのが肝膿瘍であり,発熱・右季肋部痛を呈する.診断は検体を顕微鏡で観察する方法,血清抗体を調べる方法が主であったが,2017年に抗体検査が中止となった.治療はメトロニダゾールの内服または静注が第一選択である.便からシストが消えない場合はパロモマイシンを追加投与する.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.