特集 診療ガイドライン
前立腺肥大症の診療ガイドライン
斉藤 史郎
1
1国立病院東京医療センター泌尿器科
キーワード:
前立腺肥大症
,
IBPSS
,
QOLスコア
,
全般重症度
,
TURP.
Keyword:
前立腺肥大症
,
IBPSS
,
QOLスコア
,
全般重症度
,
TURP.
pp.45-51
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100520
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Case
前立腺肥大症患者が尿閉となった症例
患 者:72歳,男性.
既往歴:高血圧で降圧剤を内服.
現病歴:一年ほど前より尿流の低下,排尿回数の増加がみられ,とくに飲酒後排尿の困難さを感じていたが放置していた.咽頭痛,鼻汁がみられたため,市販の感冒薬を服用したところ排尿ができなくなり,下腹部膨満感が出現.間歇的に激しい痛みも出現したため,救急車にて来院した.尿道カテーテルを留置したところ800 mlの尿の流出があった.2日間カテーテルを留置後に抜去したところ,自排尿は得られたが前立腺容積も大きく,残尿も多かったためTURP(J1)を施行した.
前立腺の解剖と前立腺肥大症の病態
前立腺は膀胱に接して存在する臓器であり,図1で示すような構造で,中を尿道と射精管が通っている.前立腺肥大症(BPH:benign prostate hyperplasia)は,そのうちの主に移行帯(TZ)が肥大して生じるものであり,その結果,中を通る尿道が圧迫されて狭くなり,排尿に障害をきたすのである.
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