特集 しびれにご用心
症例から学ぶしびれの診療
全身疾患に伴うしびれ
稲福 徹也
1
1琉球大学医学部附属病院地域医療部
キーワード:
多発ニューロパチー
,
多発性単ニューロパチー
,
深部腱反射
,
アレルギー性肉芽腫性血管炎
Keyword:
多発ニューロパチー
,
多発性単ニューロパチー
,
深部腱反射
,
アレルギー性肉芽腫性血管炎
pp.734-737
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100414
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Question & Answer
Q:多発ニューロパチーとミエロパチーを鑑別するにはどうしたらよいですか?
A:どちらも両下肢のしびれで発症することが多いです.神経学的診察では,①深部腱反射,②知覚障害のレベル,③膀胱直腸障害の有無,に注目します.
問
■いつ始まったものか?
両足のしびれは3カ月前から始まり徐々に悪化し,1週間前から歩きにくくなってきた.亜急性の発症で進行性の経過なので,何らかの器質的疾患があると考えて鑑別診断を進める.しびれというと心理的な問題との関わりも多いが,訴えには一貫性があり(実際にその場にいなければ雰囲気はわからないが),日によって変化しないので信頼性は高いと考えた.発症は急性ではなく,緊急性が高い脳梗塞や急性動脈閉塞などの可能性はない.ギラン-バレー症候群としては経過が長すぎて考えにくいが,可能性は残しておく.同時に発生した咳と呼吸困難感も,若年者では症状を一元的にとらえるという原則に従い,関連あるものとして詳細に聞く必要がある.亜急性に発症した両下肢のしびれということで,多発ニューロパチーかミエロパチーを考える.
■運動障害を伴うものか?
「歩きにくい」という訴えについてもう少し詳しく聞いてみる.具体的には「階段の上り下りはできますか?」と質問する.階段の上りが困難なのは下肢筋力の低下で,下りが困難なのはミエロパチーなどによる下肢の痙直性の亢進を示唆する.すると「1週間前から階段を上るのが徐々にきつくなってきた」と訴えた.筋力低下がありそうなので診察で確認する.
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