特集1 「行動制限最小化」につながる看護をさがす
チーム判断の客観性を支えるのはよいコミュニケーションである
杉山 直也
1
1横浜市立大学付属病院(神経科)
pp.41-45
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100379
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行動制限の最小化がなぜ議論されるようになったか
行動制限は、精神科に限らず古くから多くの医療現場で必要とされ、実施されてきた医療行為の1つですが、近年その「最小化」が話題となっています。この背景には、行動制限という患者の人権にかかわる制限行為が、不適切に行なわれないための歯止めの意義がありますが*1、一方ですべての医療行為がそうであるように、医療が客観的にその質を評価され、透明性を求められるようになったという、いわば時代的な社会的要請であるともいえます。つまり、組織としてのシステマティックな取り組みや学術的議論などが行なわれるようになってきたということでしょう*2*3*4*5*6。
行動制限についての枠組みが整備されつつある一方で、最も患者に接近してケアを行なう現場の看護師にとっては、まだまだ悩むところが多いという声を耳にします。これには、行動制限に関する意識に職種間で依然温度差があることや、実施や解除にあたり判断に迷う場面が存在するということがあるでしょう。また、必要とはいえ制限行為を行なうこと自体への心理的抵抗感、行動制限に関連する医療事故の存在なども大きな要因でしょう。
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