特集 診療所での上手な抗菌薬の使い方
在宅医療における抗菌薬治療
平原 佐斗司
1
1東京ふれあい医療生活協同組合 梶原診療所 在宅サポートセンター
キーワード:
在宅高齢者
,
誤嚥性肺炎
,
膀胱留置カテーテル
,
カテーテル敗血症
Keyword:
在宅高齢者
,
誤嚥性肺炎
,
膀胱留置カテーテル
,
カテーテル敗血症
pp.646-650
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100396
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Question & Answer
Q:在宅患者への有効な肺炎対策は?
A:在宅高齢者の肺炎はその病原体に問題があるのではなく,宿主である個体の全身疾患として発症する.その主たる原因は嚥下障害であり,抗菌薬治療以上に就寝前の口腔ケアなどの予防的な総合的ケアが重要である.在宅高齢者の感染症の特徴
在宅高齢者の感染症は,Caseのように各種基礎疾患による局所的障害が原因になる場合が多い.しかも,在宅高齢者の感染症は重症例が多く,しばしば死につながるため,適切な予防法を講じるとともに,抗菌薬が正しく用いられなければならない.
高齢者の感染症の起炎菌は一般細菌や抗酸菌が多い.一般細菌では,黄色ブドウ球菌,肺炎球菌,大腸菌などの病原性の強い菌だけでなく,腸球菌,緑膿菌などの弱毒菌も起炎菌となる.抗酸菌では,戦前戦後の時期に結核感染を受けた人が高齢化・免疫力の低下によって再発したり,高齢女性が非結核性抗酸菌症を発症したりすることも多い.在宅患者では,カリニやサイトメガロウイルス感染,真菌感染などによる致死的な日和見感染は起こりにくいが,時に中心静脈カテーテル敗血症のカンジダや結核後の空洞に発生するアスペルギローマが問題となることがある.マイコプラズマは70歳代後半になると稀であるが,クラミジア・ニューモニアは,高齢者でも細菌との混合感染という形でみられる.
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