特集 診療所での上手な抗菌薬の使い方
小児のための抗菌薬治療
吉田 均
1
,
草刈 章
2
,
武内 一
3
,
西村 龍夫
4
,
深澤 満
5
1よしだ小児科クリニック
2くさかり小児科
3耳原総合病院小児科
4にしむら小児科
5ふかざわ小児科
キーワード:
白血球数増多
,
CRP高値
,
血液培養
,
耳介前方偏位
,
多呼吸
,
陥没呼吸
,
乾性ラ音
,
RSウイルス迅速検査
,
酸素吸入
Keyword:
白血球数増多
,
CRP高値
,
血液培養
,
耳介前方偏位
,
多呼吸
,
陥没呼吸
,
乾性ラ音
,
RSウイルス迅速検査
,
酸素吸入
pp.652-656
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100397
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Question & Answer
Q1:急性中耳炎で留意することは?
A1:発熱を伴う場合は注意が必要.まれにoccult bacteremiaや乳様突起炎のことがある.
Q2:気管支炎で留意すべきことは?
A2:低月齢児の細気管支炎は急速に呼吸状態が悪化することがある.入院を考慮した慎重な対応が必要である.
小児上気道炎のほとんどは自然治癒するにもかかわらず,熱があるというだけで抗菌薬が処方されることが多い.耐性菌の蔓延阻止のため,適正な使用が求められる.昨年発表した「小児上気道炎とその関連疾患に対する抗菌薬使用ガイドライン」をお読みいただければ,抗菌薬が必要なケースは非常に少ないことがご理解いただけるはずだ.ネットでも公開されているのでぜひアクセスしていただきたい1).また,昨年,本誌にもガイドラインの解説が掲載されているので,あわせてご利用いただきたい2).しかしながら,抗菌薬が処方される理由はさまざまあり,エビデンスだけでは解決できない問題が潜んでいる3).残念だが,たとえガイドラインをご理解いただいても,適正使用の道のりは遠い(J1).
肺炎などにならないようにと予防的に抗菌薬を使用したり,耐性菌が怖いので有効と思われる薬を早めに投与する治療法が一般的ではないだろうか.しかし,抗菌薬にはそのような予防効果がないことは多くの調査研究が示している4,5).そして,そのような治療法は耐性菌を利することになり,後日発症するかもしれない細菌感染の治療をより困難なものにするであろう6).
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