特集 失神診療をきわめる
臨床現場から伝える失神症例
⑤食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの27歳男性
志水 祥介
1
1横浜市立市民病院神経内科
キーワード:
病歴聴取
,
既往歴
,
蕁麻疹
,
アトピー素因
Keyword:
病歴聴取
,
既往歴
,
蕁麻疹
,
アトピー素因
pp.306-307
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100316
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Case
フライ弁当を食べて,歩行後に失神を起こした若年男性の1例
患者:27歳,男性.
家族歴:弟がエビ,カニなどの甲殻類の摂取にて蕁麻疹の出現あり.
既往歴:2年前に蕁麻疹の出現後に意識消失発作あり.てんかん歴なし.
現病歴:夕食に買ってきたエビフライ,ヒレカツフライの弁当を食べた後,近くのコンビニエンスストアへ歩いて出かけた.帰宅後に「全身が痒い」と言いながら,便意があったのでトイレへ入った.ドスンと音がしたので家人が見にいくと,トイレの中で意識消失して倒れていた.救急隊が到着した時には,呼びかけに開眼はしたが,名前や生年月日をスムーズに答えることができず,発汗や末梢の冷感も伴っていた.痙攣はなかった.
身体所見:来院時に発語はあるも,ぼんやりして,問いかけにはほとんど答えない.血圧80/51 mmHg,脈拍96/分・整,体温36.9℃,SpO2 97%(room air).心肺腹部に異常なし.四肢全体の脱力があるものの,明らかな中枢性の巣症状はなし.左肩から胸部にかけて膨隆疹あり.浮腫・チアノーゼなし.
経過:病棟ベッドに移動した際に,意識はほぼ完全に覚醒し,膨隆疹も消失していた.翌日には平常と変わりなく,全身状態は良好となった.
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