特集 胸痛患者をみたら
症状からのアプローチ
⑤心理社会的原因による胸痛の診断
西山 順滋
1
,
田中 努
1
,
松原 英俊
1
,
三ッ浪 健一
1
1滋賀医科大学附属病院総合診療部
キーワード:
パニック発作
,
心身医学的アプローチ
,
解釈モデル
,
病態説明
Keyword:
パニック発作
,
心身医学的アプローチ
,
解釈モデル
,
病態説明
pp.216-219
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100253
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例の解説
本疾患の診断は心血管,呼吸器疾患を除外し,診断基準を満たすことで比較的早期につけることが可能である.しかし患者にとってその診断は理解,納得するのに時間を要する場合がある.また,納得できたとしても投薬主体の治療では,症状の改善がみられないことも多い.以下に,心身医学的アプローチ(J3)として筆者が行っている診察の流れ(表2)に沿って本症例を検討していく.
診察の流れ
①医療面接
必ず「解釈モデル」を聴取する.以下の3つをたずねる.
①症状について,何か心当たりはありますか.
②症状について,何か心配されていることはありますか.
③症状に対して,何か希望される(されない)検査,治療はありますか.
患者はいろいろな思いを持って来院するが,とくに医師に対し,「こんなことを聞いても相手にされないのでは」「怒られるのでは」「もう診てもらえないんじゃないか」といった気持ちが強く,本心が伝えられないことも多い.治療者から「どうぞ話してみてください」という態度を示すことで,思ってもみなかった言葉が聞かれることも多く,治療に非常に役立つ.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.