特集 胸痛患者をみたら
症状からのアプローチ
④消化器由来の胸痛の診断
金 鏞民
1
,
富田 寿彦
1
,
三輪 洋人
1
1兵庫医科大学内科学上部消化管科
キーワード:
NCCP
,
GERD
,
PPIテスト
Keyword:
NCCP
,
GERD
,
PPIテスト
pp.212-214
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100252
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胸痛は心臓性胸痛と非心臓性胸痛(non cardiac chest pain:NCCP)に分類され,さらにNCCPは,消化器疾患,肺疾患,筋骨格疾患などに起因する胸痛に分類される.欧米の報告では,CCUや循環器内科病棟に緊急入院した患者の胸痛や狭心症様症状の10~30%はNCCPであるとされている.NCCPの原因として一番多く,NCCPの30~60%を占めているのが,胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)などの上部消化管の疾患である1).胃酸の食道内逆流による定型的な逆流症状は,胸やけ,呑酸であるが,その非定型的症状の1つに,狭心症様症状や胸痛を訴えるNCCPも含まれている.
近年本邦においてもHelicobacter pylori感染率の低下や生活様式の欧米化および高脂肪食の摂取などに伴い,胃酸分泌能が亢進してきており,それに伴いGERDをはじめとする酸分泌関連疾患が注目を集めている.本稿では,NCCPを起こす疾患の代表格であるGERDを中心に,胃酸逆流に伴う胸痛出現のメカニズムや診断について概説する(J1).
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