診断推論研究の最前線[8]
診断過誤はなぜ起こるのか
大西 弘高
1
1東京大学医学教育国際協力研究センター
pp.932-936
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100199
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今回は,某診療所の医師が,田坂佳千医師(田坂小児科内科)が運営中のメーリングリスト「TFC」に症例クイズとして投稿された内容からご覧ください.これは,その診療所医師が実際に診た患者さんの話題です.
【Case】
【患者】28歳,男性.
【主訴】呼吸困難感,胸痛,背部への放散痛.
【職業】肉体労働.特殊な曝露があるような業務ではない.
【現病歴】本年6月のある日午前3時頃,胸の苦しさを感じて覚醒.「呼吸が何となくできない感じ」の呼吸困難感,「胸がグーッと痛くなる」胸痛と背部への放散痛を自覚.水を飲んでみたがかえってグーッという苦しさが増すようだった.同居の両親が持っているニトロ舌下錠を半分に割って0.5錠だけ舐めてみた.効果は不明.数十分ほどで次第に胸の症状は治まってきたが,仰臥位では苦しくて眠れなかったので軽度Fowler位で眠った.
その夜,37℃台の微熱あり.OTCの解熱薬をのんだら治まった.次の日の夜~2日目にかけて再び同様の胸部症状出現.ゲップをすると症状が増強するようであった.2日目に某診療所を受診.過去に同様の症状の経験はなく初めてのエピソード.解釈モデルは,「発症前日はいつもより強めにマッサージを受け,揉み返しと思った」とのこと.
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