特集 災害被災地におけるプライマリ・ケア
被災した医師としての経験
台風23号
佐藤 泰吾
1
1諏訪中央病院内科
キーワード:
台風23号
,
ライフライン
,
電気系統
,
応援医師
Keyword:
台風23号
,
ライフライン
,
電気系統
,
応援医師
pp.660-661
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100134
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加佐地区は京都府舞鶴市の西に位置する.面積は舞鶴市のおよそ1/3を占め,市人口の1/20(約5,000人)が生活をしている.加佐地区に限ってみれば,高齢化率は36%を超える.地域の中心を流れるのが由良川である.由良川と,由良川に注ぐ谷川に沿って加佐地区の集落は広がっている.加佐地区にある唯一の医療機関が加佐診療所(無床公立診療所)であり,私は縁あって2004年4月から1年間の予定で勤務していた.
由良川には繰り返す氾濫の歴史がある.地域の人々は「二十八水」として1953(昭和28)年の台風13号を語り継いでいた.約50年前の台風である.2004年,上陸した台風の数は観測史上最多を記録していた.台風が来るたびに「二十八水」の話を地域の方々,地元の看護師から幾度も聞かされていた.このような語り継ぎが,災害時の自分のフットワークを支えていたことを最初に記しておきたい.
台風23号がやってきたのは,2004年10月20日のことだった.由良川は氾濫し,谷川沿いでは土砂災害が起こり人々の生活に甚大な被害をもたらした.由良川西岸の国道175号線に乗客30数名を乗せた観光バスが取り残されたことは,大々的に報道された.当初,私は観光バス乗客救助チームの一員として働いた.その後,地域唯一の診療所勤務の医師として地域の医療活動にあたった.
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