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地域で発生した健康危機に関して,迅速に対応できる体制づくりや自然災害への取り組みが,保健所機能としての課題となっています.平成15年に大型台風14号が宮古島(図1)に襲来し,まさに危機管理現場となりましたが(写真1),宮古福祉保健所では,トライアスロン宮古島大会医療救護部の仕組みを活用して,被災患者に対応しました.今回はその取り組みの報告と,台風災害を教訓に災害対策マニュアルを作成しましたので紹介します.
台風14号の概況と被害状況
平成15年9月10~11日にかけて宮古島を襲った台風14号は,宮古島気象台で最大瞬間風速74.1m/sが記録され,中心気圧も912hpaと低い値を観測し,宮古島地方の被害はここ数十年以来の甚大なものとなりました.死傷者は死亡1人,重傷7人,軽傷89人となり,住家では全壊18棟,半壊86棟,一部損壊1,206棟の被害を受けました.また,宮古島のほぼ全世帯に当たる21,400世帯(ピーク時)で停電し,さらに伊良部町と城辺町では,ほぼ全世帯に当たる4,926世帯で断水しました.通信関係では,4,038世帯で電話が不通になった他,基地局の停波(停止)で,携帯電話もつながりにくい状態でした.
当福祉保健所では,停電によりサーバー・FAXが使用不能になったため,自家発電機を備え,非常電源が使用できる宮古病院で9月11日13時30分,宮古地区医師会,県立宮古病院,宮古広域消防組合と合同で「宮古地区医療救護本部」を設置し,災害弱者(高齢者・一人暮らし障害者・透析患者・在宅酸素療養患者)の安否の確認を市町村と連携をとりながら把握し,処遇に努めました.民間の医療機関・福祉施設についても被害状況調査を実施するとともに,被害を受けた施設の患者の受け入れ体制等を確保し,関係機関に情報提供を行いました.
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