講座・リンパ球の検査・12
インターフェロンの測定法
川名 林治
1
,
小西 一樹
2
,
佐藤 成大
3
Rinji KAWANA
1
,
Kazuki KONISHI
2
,
Shigehiro SATOH
3
1岩手医科大学細菌学教室
2岩手医科大学第3内科
3岩手医科大学細菌学教室
pp.1726-1731
発行日 1984年12月15日
Published Date 1984/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912445
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
インターフェロン(IFN)の産生と作用
古くから,2種以上のウイルスが,同じ細胞に感染すると,どちらか一方のウイルスの増殖が,他のウイルスの増殖を抑制するという現象が知られていた.これはウイルス—ウイルス間の干渉現象と呼ばれているもので,種々のウイルスの組み合わせについて観察されている.IFNは,この干渉現象の研究から,ウイルスの増殖を抑制する物質として発見されたものである.IFNという名前は"インターフェレンス(干渉)を引き起こすもの"を意味している.生体がなんらかのウイルス感染を受けると,IFNが産生されるが,IFNの産生はウイルス感染の数時間後に開始され,ウイルスの増殖に伴って,IFN価も上昇する.産生されたIFNは体液を介して周辺,あるいは全身の細胞に運ばれる.このIFNの作用を受けた細胞は,一時的ではあるが,速やかに(2〜6時間後),ウイルス増殖抑制状態に移行する.しかし,IFNの産生は長くは続かず,ウイルスの消失と相前後して低下していく.細胞の得た抗ウイルス状態もまた同時に消失する.感染したウイルスに対する特異抗体が上昇するのはその後であり,したがって,IFNは初回ウイルス感染時に,生体防御に働く重要な因子といえる.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.