特集 結核を見逃すな!
非結核性抗酸菌症の診断と治療
倉島 篤行
1
1独立行政法人国立病院機構東京病院臨床研究部
キーワード:
M. avium-intracellulare complex
,
M. kansasii
,
クラリスロマイシン
Keyword:
M. avium-intracellulare complex
,
M. kansasii
,
クラリスロマイシン
pp.398-402
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100098
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本症は,結核症と同じ抗酸菌属による肺疾患であるが,臨床上,多くの点で結核症とは異なった特性を持っている.
最も異なる点は,結核菌がヒト-ヒト伝染を起こすのに対し,非結核性抗酸菌はヒト-ヒト伝染が証明されていないことである.本来は人間に対する病原性はごく弱く,土壌ないし水中の環境棲息菌であるが,肺の局所抵抗力の損傷された部位に寄生的に定着し,やがて病変,症として成立していく日和見感染症として考えられている.
次に異なる点は,多くの菌種では今日でも殺菌的あるいは滅菌的に作用する薬剤がないことである.したがって,病原性は弱いため進行はゆるやかであるが,治療はきわめて困難である.とくにAIDSの場合は,全身感染症として,非結核性抗酸菌は最も治療困難な病原体の1つになっている.
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