Japanese
English
Current Opinion
非結核性抗酸菌症
Nontuberculous Mycobacterial Infection
永井 英明
1
,
押谷 洋平
1
Hideaki Nagai
1
,
Yohei Oshitani
1
1国立病院機構東京病院呼吸器センター
1Center for Pulmonary Diseases, National Organization Tokyo National Hospital
pp.769-773
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102283
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非結核性抗酸菌症に関する最近1年間の全般的な話題:研究,診断,治療の動向
非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria;NTM)は,結核菌群以外の培養可能な抗酸菌を一括した呼称であり,Mycobacterium lepraeは人工培地上発育不能菌と言われており含まれない.現在,100種類以上のNTMが知られており,わが国でもそのなかの20種類以上の感染症例が報告されている.2001年の調査ではNTMのなかではM. avium complex(MAC)が82.8%,M. kansasii症が8.1%と,この2菌種がほとんどを占めている1).NTM症の症例数は年々増加しており,特にMAC症は増加しており,現在のMAC症の罹患率は人口10万対6~8と推定されている.MACに対する殺菌的な薬剤が存在しないため,治療に難渋する例が多く,NTM症のなかではMAC症が最も重要な菌である.したがってMAC症に対する研究が最も多く,しかもわが国から多数の研究が発表されている.
NTM症の増加に関しては森本らが死亡に関する統計的分析を行い,1990年代半ばから死亡数は増加しており,大部分はMAC症と考えられ,医師の関心,検査法の改善,高齢化などが影響していると予測している2).この増加傾向が続くと10年以内に結核の死亡数を抜く可能性を指摘している.
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