Japanese
English
今月の主題 上部消化管感染症—最近の話題を含めて
症例アトラス
感染性十二指腸炎
非結核性抗酸菌症
Duodenal Endoscopic Findings of Nontuberculosis Mycobacteria Infection
伊良波 淳
1
,
金城 徹
2
,
海田 正俊
2
,
仲村 秀太
1
,
大平 哲也
2
,
田中 照久
2
,
大石 有衣子
2
,
島袋 耕平
2
,
平田 哲生
3
,
外間 昭
2
,
健山 正男
4
,
藤田 次郎
4
Atsushi Iraha
1
1琉球大学医学部附属病院第一内科
2琉球大学医学部附属病院光学医療診療部
3琉球大学医学部附属病院診療情報管理センター
4琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学
キーワード:
十二指腸
,
白色絨毛
,
消化管MAC症
,
播種性MAC症
,
HIV
Keyword:
十二指腸
,
白色絨毛
,
消化管MAC症
,
播種性MAC症
,
HIV
pp.1652-1655
発行日 2019年11月25日
Published Date 2019/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201889
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疾患の概念と最近の動向
非結核性抗酸菌(nontuberculosis mycobacteria;NTM)は,結核菌群と培養不能ならい菌を除いた抗酸菌の総称である.以前は非定型抗酸菌と称されていた.自然環境のみならず水道やその配管,風呂場などの生活環境にも広く分布している.かつては弱毒菌と考えられていたが,感染臓器で最も多い肺に関しては,2014年に国立感染症研究所などが行った調査で肺NTM症の罹患数は14.7/10万人であり,肺NTM症の急激な増加と,初めて結核の患者数を上回ったことが明らかとなった1).現在,NTMは約150種類が同定されているが,ヒトに病原性を有するのはそのうち50種類程度であり,そのほとんどがMycobacterium aviumとMycobacterium intracellulareから成るMAC(Mycobacterium avium complex)である.そのため本稿では消化管MAC症を中心に記載する.
MACは周りの環境から直接感染すると考えられているが,主な感染経路は経気道感染,経腸感染である.結核菌群と異なり,ヒト—ヒト感染は起こらないため,感染者の隔離は不要である.感染者の免疫機能が正常な場合は,経気道感染により肺MAC症を引き起こすが,免疫機能が低下している場合や小児では,MACは腸管粘膜より直接浸潤しマクロファージに取り込まれ,消化管MAC症を引き起こすと考えられている.
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