特集 MRIの使い方
ミニレクチャー
③MR血管造影
天羽 賢樹
1
,
渡邊 祐司
1
1倉敷中央病院放射線科
pp.125
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100055
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MR血管造影(MR angiography : MRA)は,主に造影剤を用いる造影MRAと,造影剤を用いない非造影MRAに大別される.後者にはtime-of-flight(TOF)法,phase-contrast(PC)法,steady-state coherent sequence法があり,目的とする部位・血管によって最適の撮像法が異なる.
TOF法は,撮像面内に流入する血流の信号が,バックグラウンドとなる組織と比べ,高い信号強度を示す(inflow効果)ことを利用している.TOF-MRAの画像データ(信号)の収集方法には,M2D撮像法と3D撮像法がある.M2Dではsingle-sliceごとに信号を収集していくので,常に最大のinflow効果が得られ,流速の緩徐な血流でも強い信号が得られる.このため,M2D-TOF-MRAは,頭部では表在静脈や静脈洞を描出するのに有用で,頸部や下肢などの比較的広い範囲を描出するのにも優れている.3Dでは,高空間分解能が得られるので,Willis輪を中心とした頭蓋内動脈の描出に有用である.またTE(エコー時間)が短いため,乱流や渦流の発生する動脈瘤や狭窄病変でも信号の低下が少なく,これらの検出にも優れている.3D撮像法の短所は,遠位部の血流信号が飽和効果のため信号低下をきたすことであるが,tilted optimized nonsaturated excitation(TONE)を用いて飽和効果を低減できる.
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