増刊号特集 泌尿器科 病棟管理マニュアル
Ⅴ.術前・術後1週間の患者管理
体腔鏡下手術
岩村 正嗣
1
Masatsugu Iwamura
1
1北里大学医学部泌尿器科
pp.299-304
発行日 2002年3月30日
Published Date 2002/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904622
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1 はじめに
泌尿器科領域における体腔鏡下手術の歴史は外科,婦人科などに比べると浅く,保険適応疾患も良性疾患に対する副腎摘除術,腎摘除術,精巣摘除術そして精巣静脈瘤根治術のみであり,まだまだ少ないといわざるを得ない。このため泌尿器科医にとっての修練の機会が少なく,熟練した腹腔鏡手術医が育ちにくく,本来体腔鏡手術の適応疾患であっても開放手術で行っている施設が多いのが現状である1)。しかし,今や副腎摘除術や腎摘除術などは体腔鏡下手術が標準術式とさえ言われ,また一定の技術を習得した医師が存在する施設においては適応疾患を広げる努力がなされており,泌尿器科医であれば体腔鏡下手術の重要性を真剣に考えなければならない時期が到来したと思われる。
体腔鏡下手術には腹腔を経由する腹腔鏡下手術と,後腹膜腔を拡張して操作を行う後腹膜腔鏡下手術の2種類に大別される。それぞれの術式や適応疾患,利点・欠点などは他書に譲り,本稿ではその管理法についてのみ述べる。また,炭酸ガスによる気腹下で行うものと,気腹を用いない吊り上げ法により手術を行う方法があるが,本稿では前者についてのみ解説する。さらに副腎摘除後のホルモン補充療法など疾患特異的な管理法などについても他書を参考にされたい。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.