増刊号特集 泌尿器科 病棟管理マニュアル
Ⅴ.術前・術後1週間の患者管理
骨盤内手術(膀胱全摘除術・前立腺全摘除術)
中原 満
1
,
石 光広
1
,
望月 英樹
1
,
森山 浩之
1
Mitsuru Nakahara
1
,
Mitsuhiro Seki
1
,
Hideki Mochizuki
1
,
Hiroyuki Moriyama
1
1県立広島病院泌尿器科
pp.293-298
発行日 2002年3月30日
Published Date 2002/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904621
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1 はじめに
膀胱全摘除術は浸潤性膀胱癌に対する根治的手術術式,前立腺全摘除術は前立腺に限局した早期前立腺癌に対する根治的手術術式である。どちらの手術もdorsal venous complexの処置が必要で,bunching techniqueなどの工夫により,大量出血をきたすことは減少したがいまだに比較的出血の多い手術である。また後方では直腸との間を剥離するために直腸損傷の可能性があり,また摘除術後に前者では尿路変向術が,後者では膀胱尿道吻合術による尿路再建が必要で,術後には尿路変向に伴うストーマの出現ないし排尿状態が大きく変化することで,精神的な負担も大きい。術前の正確な病期診断と全身状態の把握による手術適応の選択,解剖に基づく正確な手術と周術期の注意深い管理および精神的ケアが大切な手術である。しかし,前立腺全摘除術では腹膜外手術で手術時間も比較的短いのに対して膀胱全摘除術は多くは腸管を利用した尿路変向術を伴うために長時間を要し,腸管の切断,吻合など腹腔内処置が必要なことが大きく異なる。ここでは膀胱全摘除術(回腸導管造設術を想定)と前立腺全摘除術についての術前・術後の管理についてそれぞれ述べる。
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