増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅱ.術式別にみた術中・術後合併症の管理
D.開腹的手術
8.前立腺の手術
前立腺全摘除術
藤戸 章
1
,
三木 恒治
1
Akira Fujito
1
1京都府立医科大学泌尿器科
pp.186-189
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903211
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1 はじめに
前立腺全摘除術は,1990年以前は手術適応となる早期癌症例の発見が少なかったこと,また術中出血,尿失禁など術中・術後の合併症の対策が十分でなかったため,本邦ではそれほど普及した術式ではなかった。しかし,Walshらによる術式の改善1)およびPSAの導入,検診の普及によって早期癌の発見頻度が増加したことなどにより,急速に手術例数は増加している。この手術の問題点として,大きくは術中出血のコントロールおよび術後の尿失禁,勃起不全に集約されるといっても過言ではないだろう2).
手術適応としては,臨床病期A2〜B,またCに関してはneo-adjuvant療法によりdown stagingをはかった上で手術されるのが一般的である。Neo-adjuvant療法については,stage Bにおいても施行する施設もある。神経温存に関しては,患者の希望により施行されるべきであるが,腫瘍の残存の危険性などを考慮し慎重な適応が望まれる。
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