病院めぐり
中野総合病院泌尿器科
小林 信幸
pp.970
発行日 2002年10月20日
Published Date 2002/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903644
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当院は,2002年に創立70周年を迎えました。その歴史は基督教社会運動家 賀川豊彦や新渡戸稲造らが創設した東京医療利用組合に始まります。賀川は昭和初期の悲惨な医療状況を改革すべく,全国医療組合運動のモデル組織として同組合の設立に尽力し,昭和7年に新宿診療所を開設,翌8年12月に当院の前身である中野組合病院がスタートしました。資料によると,設立認可に際しては医師会の猛反対に遭い困難を極めましたが,5.15事件で当時の東京府知事が急遽警視総監に任命され,知事辞任の当日に電撃的に認可を決裁したという話です。賀川豊彦の胸像は今も病院前の公園の木陰にひっそりと立っています。戦時下に日本医療団に接収され,慶應義塾大学の附属病院となった時期がありました。当時の院長は皮膚泌尿器科の田村先生でした。戦後は経営危機に直面した時期もありましたが,再建計画に基づき病院も昭和42年に新築され,東京医療生協組合「中野総合病院」と改名し,現在に至っています。
東京医療生協には,当院のほかに透析施設中野クリニック,くみあい保険薬局,新渡戸記念訪問看護ステーションがあり,病院に近接しています。また関連施設の嘉榮学園中野看護専門学校は,当院の院長と副院長が理事長,学校長を兼任し,当院のスタッフが臨床科目の講義を担当しています。
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