増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅳ.術後合併症とその管理
6.代謝・内分泌系
糖尿病性昏睡
三浦 順之助
1
,
内潟 安子
1
,
岩本 安彦
1
Junnosuke Miura
1
1東京女子医科大学糖尿病センター(第3内科)
pp.308-311
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903243
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1 はじめに
糖尿病性昏睡は,糖尿病患者における急性合併症の1つである。通常は糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis:DKA)によるものを示すが,しばしばケトン産生を起こさない高浸透圧性非ケトン性昏睡(hyperosmolar nonketotic coma:HONK)もある。広義には治療に伴う低血糖症も糖尿病性昏睡の範疇に入る。また,乳酸アシドーシスがDKAおよびHONKに合併する場合が稀にある。
糖尿病が今や国民病といわれるまで患者数が増加したため,糖尿病患者が外科的手術を受ける機会もまた非常に多くなったといえよう。糖尿病患者は,生体内のインスリンの絶対的あるいは相対的不足に基づく糖代謝異常ならびに脂質,蛋白の代謝異常をかかえている。その上,全身の血管障害とそれに基づく主要臓器の機能障害を合併する場合が多い。さらに,易感染性や創傷治癒の遅延も起こってくるので,手術対象としてはhigh risk groupに属する。また,外科的侵襲が糖尿病状態の悪化を招くことも広く知られている。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.