増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅳ.術後合併症とその管理
1.神経系
術後精神障害
保坂 隆
1
Takashi Hosaka
1
1東海大学医学部精神科
pp.251-253
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903225
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1 はじめに
「術後精神障害」とは,文字通り手術のあとに不安,抑うつ,幻覚,妄想などさまざまな精神症状を呈した場合の総称である。このうち,幻覚や妄想を呈する場合は,これらは精神病症状であるために「術後精神病」と呼ばれることもある。一般に術前からの精神症状が悪化したものはここに含まないので,例えば,精神分裂病患者の精神症状が術後に悪化したとしても,特別に術後精神障害とか術後精神病とは呼ばないことになっている。
さて,術後に生ずる精神障害としての不安や抑うつは反応的なもので,抗不安薬の服川や家族や医療者と話すことで軽快することが多いが,対応が困難で臨床的に問題となるのはやはり「せん妄」(delirium)である(術後に生じたという意味で「術後せん妄」ということもある)。
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