増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
10.後腹膜腔疾患
後腹膜線維化症
窪田 泰江
1
,
窪田 裕樹
1
,
郡 健二郎
1
Yasue Kubota
1
1名古屋市立大学医学部泌尿器科
pp.332-335
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902622
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1 はじめに
本症は40〜60歳の男性に多く,後腹膜腔の疎性結合組織の線維化により,尿管や血管の圧迫狭少化を起こす(図1)。病変はL3〜S2の高さの正中部に発生し,両側性のことが多い。初期症状は易疲労感,体重減少,微熱で,次いで腹痛,腰痛が起こり,進行例では無尿,両側水腎などの症状から発見されることが多い。原因は,特発性と続発性に分類される。前者は原因不明のときに,後者は薬剤,悪性腫瘍,感染,出血,尿溢流,大動脈瘤,放射線照射などによる後腹膜腔への反応性変化で発症する。病変腫瘤性または線維性としてみられ,線維性は境界が不明瞭である。組織学的には膠原線維と線維芽細胞の増生があり,炎症性細胞の浸潤が著しい。検査所見は,BUNと血清クレアチニンの上昇,赤沈亢進,貧血,CRP上昇,自己抗体陽性,A/G比低下がみられる。
診断は,上記の症状と検査所見の他,画像診断から容易であるが,確定診断するにはCTガイド下または開腹下の生検が必要である。治療は,腎保存を目的として,尿管カテーテル留置または経皮的腎瘻を造設する。続発性では原因疾患の治療を行う。ステロイドの奏効率は高く,使用期限は症状と検査所見を指標とするが,尿管剥離術や尿管端々吻合術の外科的治療に至ることもある。
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