増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
10.後腹膜腔疾患
後腹膜腫瘍
細木 茂
1
,
黒田 昌男
1
Shigeru Saiki
1
1大阪府立成人病センター泌尿器科
pp.327-330
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902621
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1 はじめに
後腹膜腔は,副腎,腎,尿管,膀胱,血管,リンパ管,神経などの多くの器官を含み,この領域の腫瘍は発生母体同様に多彩な組織型を示す。悪性腫瘍が全体の70〜80%を占める。しかし,後腹膜悪性腫瘍は,癌全体からみれば0.1〜0.2%を占める稀な疾患である。大部分は40歳から60歳にかけて発生し,性差は認められない。しかし,横紋筋肉腫や神経芽細胞腫は小児期に生じやすく,神経原性腫瘍や奇形腫は30歳以前に生じやすい。von Hippel-Lindau症候群や結節性硬化症や神経線維腫症の患者には,神経原性腫瘍が生じやすい。頻度の高い悪性腫瘍は脂肪肉腫で,ついで平滑筋肉腫や悪性線維性組織球腫である。良性腫瘍では脂肪腫や神経線維腫や神経鞘腫がある。
後腹膜腔原発の腫瘍は,表に示すように,発生母地から中胚葉性,神経原性,胎児性および異所性に分類される。
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.