増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
9.前立腺・精嚢疾患
血精液症
古屋 聖児
1
,
斉藤 信人
1
Seiji Furuya
1
1古屋病院泌尿器科
pp.324-326
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902620
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1 はじめに
精液に血液が混入する血精液症は,決して稀な疾患ではない。その大部分は自然に治癒するが,明らかな原因は多くの場合不明である1)。出血の部位に関しても,精嚢線,前立腺,尿道などが指摘されているが,現在まで明確には確定されてはいない。また,原因疾患に関しても,前立腺炎や精嚢腺炎が広く指摘されているが,それを証明した報告は現在までない。そのため,一般的な治療方針としては"watchful waiting"しかなく,患者が抱く「性病や癌に罹患したのではないか」という恐れ,「将来不妊症になるのではないか」という不安を払拭する明確な検査や治療のガイドラインがないのが現状である。
われわれは,TRUS検査と精嚢腺穿刺により,血精液症の出血部位を鑑別できることを観察した。精液の色調や射精後血尿の合併の有無も,出血部位の鑑別に有用であった。この出血部位の鑑別に基づいて,将来,治療のガイドラインを確立し,提案しようと考えている。
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