特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
9 その他の疾患
男性器疾患
115 血精液症
並木 俊一
1
1東北大学医学部泌尿器科
pp.317-318
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103184
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1 診断の概要
血精液症とは,精液に血液が混入する状態で,疾患というよりは1つの症状である。泌尿器科外来診療においては決して稀なものではないが,原因がはっきりしないことが多く,診療にあたる個々の医師の判断や患者の年齢によっても検査方針が少なからず異なっている。年齢は20~60歳代に発症し,40歳代に最も多い1)。随伴症状を認めないものが多いが,排尿困難,頻尿,排尿時痛,会陰部不快感などの症状を伴うこともある。血精液症の原因疾患を表1にまとめた。
従来,精囊,前立腺疾患に由来するものと原因不明の特発性のものがあるとされてきたが,血精液症のほとんどは精囊内出血であり,その原因としては精囊炎,精囊結石,精囊憩室,精囊腫瘍,前立腺炎,前立腺結核,前立腺肥大症,前立腺癌などが挙げられる。精囊,前立腺疾患以外では,高血圧,糖尿病,アレルギー疾患,アミロイドーシスに合併することがあり,特に糖尿病はrisk factorである。また最近急増している前立腺生検による医原性も報告されている。
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