血精液症

HEMOSPERMIA

I．緒言

　血精液症は血液が精液中に混入するために精液が紅色ないし暗赤色に着色する一症候をいう。当然内性器，又は尿路に出血性病巣が存在する理由であるが，臨床的にはこれを独立した一疾患として取扱う事が多い。

　従来本症に関する研究はややなおざりにされた感があつたが，最近，泌尿器科領域で男子不妊の問題が大きくとりあげられ精液検査を行う事が多くなつた為か血精液症を発見する機会が多くなり之を治療対象とする事も少くない。よつて本症の不詳の病因を追究し，その療法を確立する事は泌尿器科医の重要な課題の一つであると考える。