Japanese
English
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膀胱エントメトリオーゼの1例
A CASE OF ENDOMETRIOSIS OF THE BLADDER
東福寺 英之
1
,
名出 頼男
1
,
瀬尾 道次
2
Hideyuki TOFUKUJI
1
,
Yorio NAIDE
1
,
Michitsugu SEO
2
1慶応義塾大学医学部皮膚科泌尿器科教室
2慶応義塾大学医学部産婦人科教室
1Department of Urology, School of Medicine, Keio University
2Department of Obstetrics and Gynecology, School of Medicine, Keio University
pp.31-35
発行日 1963年1月1日
Published Date 1963/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203422
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I.緒言
Endometriosisとは,子宮内膜類似の組織が異所性に存在し,性腺上位ホルモンの支配を受けて,月経周期に伴い,子宮内膜同様周期性変化を示すものを云う。病理組織学的には通常腺管,嚢胞,子宮内膜類似の間質組織,及び筋線維より成るが,滑平筋を正常組織として有する臓器に存在した場合は,筋線維増生を明らかには認め難い場合が多い。又これが真正腫瘍に属するか否かの点については,一応非腫瘍性のものとして,Endo-metriosisの名が与えられて居る0発生臓器は圧倒的な女子生殖器に多く,泌尿器系臓器には比較的稀で,欧米の報告は0.3〜9%の問に分布して居る。この中で膀胱に発生したものが圧倒的に多く,Beacham-McCrea1)が蒐集した106例中93例を占めて居る。(この統計は従来の諸家の報告を一応網羅していると思われるので,欧米に於ける症例の統計的観察は専らこれによる事とする),世界に於ける膀胱Endometriosisの最初の報告はStarr-Judd.とされて居り(1)参照),又本邦に於ては従来腺性筋腫の名で報告された川上3)が最初とされて来た。しかし著者等の調べた所では本邦最初の報告例は同じ名称で報告された,石川2)の例とすべきであり,石川によれば類似の報告は当時本邦は無論欧米にも見当らず,自ら腺性筋腫の名を与えた如く記載してあるので文献上,本邦及び世界最初の報告例と考えられる。
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