小さな工夫
恥骨後式前立腺全摘除術における尿道貫通穿刺による膀胱尿道吻合の工夫
森田 辰男
1
,
徳江 章彦
1
1自治医科大学泌尿器科
pp.977
発行日 1998年11月20日
Published Date 1998/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902464
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恥骨後式前立腺全摘除術における膀胱尿道吻合は,ときに難渋することから様々な吻合方法の工夫が報告されている1)。本稿では,貫通穿刺によって膜様部尿道に縫合糸を運針する方法を紹介する。図aに示すように,膜様部尿道前面1/2〜2/3円周を切開し2),尿道カテーテルの先端を膜様部尿道端におき,内腔を確認しつつ3時方向外内へ,さらに9時方向内外へ尿道を貫通穿刺する。その際に120cm長の針付ポリグリコール酸糸(オペポリックスⅡ™,株式会社アズウェル)を使用しているが,60〜75cmの吸収糸2本をcyanoacrylate(アロンアルファA™)で接着させて利用することも可能である。その後,直角鉗子にて尿道内腔から縫合糸を引き出し,全長のほぼ中央にて縫合糸を切る(図b)。この操作によって,3時と9時の位置の尿道に縫合糸がかけられたことになる。同様の操作を1時から11時,5時から7時方向へ繰り返すことによって,1時,3時,5時,7時,9時,11時の位置に合計6針かけられたことになる(図c)。貫通穿刺は,水平方向,垂直方向あるいは斜方向でも状況に応じて変更が可能である。前立腺摘出後,弾機針を用いて対応する膀胱頸部の位置に内外へ運針し,膀胱尿道吻合を行う。
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