小さな工夫
前立腺全摘除術の尿道膀胱新吻合における工夫
深澤 瑞也
1
,
武田 正之
1
1山梨大学医学部泌尿器科
pp.358
発行日 2003年4月20日
Published Date 2003/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100896
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前立腺癌の早期発見に伴い,根治的前立腺全摘術の適応となる症例数は今後増加することが予想される。そのなかでも恥骨後式前立腺摘除術が多く施行されているものと思われる。術式もほぼ安定し,安全な手術になりつつある。そのようななか,術後の尿失禁の原因ともなり得る尿道膀胱新吻合に関しては,尿道内にバルーンカテーテルを挿入して牽引し尿道断端を確認しながらの縫合,あるいは溝付のブジーを使用する方法などが紹介されているが,初心者には困難なことが多々ある。今回われわれは新規に道具を購入しなくとも,日頃慣れ親しんでいる硬性膀胱鏡の外筒を用いて,安全にかつ確実に吻合を行える簡便な方法を紹介したい。
通常通り前立腺を摘除後,外尿道口から硬性膀胱鏡の外筒を挿入する。このとき使用するサイズは問わない。骨盤内まで外筒が進んだ後にスタイレットは抜去し外筒のみとする。尿道断端に外筒の先端の切れ込み部を合わせる。6時方向の縫合を行う際には切れ込み部を6時方向に向けると,尿道の断端組織が直視下にある程度の厚みをもって外筒の内腔に突出するように確認できる。ここで縫合糸を尿道と尿道周囲の結合組織を一緒に針でかける。外内に運針し,外筒の内側を針で擦るようにかけることで尿道に垂直にかけることができる。内外にかけなければならない場合も,針の背で外筒内側を擦るように挿入することで尿道を垂直にしっかりかけることができる。この方法で行った場合には普段より少々大きな針のほうが外筒に視野を妨げられずに運針しやすい。同様に4時,8時,2時,10時,12時と切れ込み部を動かして運針する(図)。
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