メディカルエッセイ
Neobladderの尿道再発,後始末の心の準備
金山 博臣
1
1徳島大学医学部泌尿器科
pp.126
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902278
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私は生来心配性である。何か事を始めようとすると,悪いことばかりを考えてしまい躊躇することが多い。誰にでもあることとは思うが,妻は「そんな優柔不断でよく医師が務まるものだ」としばしば私を馬鹿にする。しかし,私は必ずしも心配性で優柔不断が悪いことばかりとは思わない。このような私の性格は医療の現場においてもしばしば顔を出す。もちろん即断を必要とするときには論外であるが,患者さんの治療方針について真剣に悩むことは,より良い結果を生むと私は信じている。
膀胱全摘除術を必要とする膀胱癌の患者さんがいる。果たして,どのような尿路変向がこの患者さんにとって一番よいのか。回腸導管が手っ取り早いが,QOLを考えると尿道が使える場合はNeobladder,使えない場合はContinent Urinary Reservoir(CUR)のほうがよいのではないか。しかし,合併症の可能性はどうだろうか。長期的にみた場合,パウチに関わる晩期合併症の出現頻度はどの程度か。CURは高齢になり導尿ができなくなってしまったときにどうするのか。家族に導尿してもらえる人はよいが,導尿してくれる人がいない場合はカテーテルを留置するのか。あるいは禁制型を失禁型に簡単に換えることができるCURを作製しておくのか。また,Neobladderで尿道再発したときにどのように対処するのか。
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