メディカルエッセイ
最近思うこと
柳川 眞
1
1三重大学医学部泌尿器科
pp.98
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902274
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20年前,私が泌尿器科へ入局した頃は,膀胱全摘除術後の尿路変向術は,回腸導管または尿管皮膚瘻がほとんどであった。それから10年が経過し,非失禁型の人工膀胱や自己の尿道へ人工膀胱を吻合する術式がよく選択されるようになった。患者さんのQOLを考えてと思い,ここ10年間,当教室でも行ってきた。しかし,老齢患者の非失禁型人工膀胱での自己導尿の問題や,晩期合併症などのいろいろな問題も起きてきている。"Simple is best"とは,何かにつけていわれることではあるが,これらの術式のなかで,よりシンプルで効率的な術式が残っていくことになるであろう。
膀胱全摘除術を受けられる患者さんへは,まず「なぜ膀胱を取らねばならないか」の説明から始まり,膀胱全摘除術後のいろいろな尿路変向術の術式を図や文章を書き説明し,時間をかけてインフォームド・コンセントを十分に行っている。しかし,いくら話をしてもわかってもらえない患者もいる。そういう場合には,意に反するが制癌剤の阻血動注療法を繰り返し行ったり,放射線療法を行ったりして,無理なTURへ持ち込む症例もある。その特殊な2例を紹介する。
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