定点観測
—長崎から—最近思うこと
岩崎 栄
1
Sakai IWASAKI
1
1長崎県立成人病センター多良見病院
pp.696-697
発行日 1984年8月1日
Published Date 1984/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208383
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「医療大国」日本
今や国会は健康保険法改正案をめぐっての審議が焦点となっているかに見える.しかし,実質審議は全くなく(いずれの問題のときもそうであるようだが),国民の眼には水面下ないしは首脳人の間でのジャブが応酬されているようにしか見えない.元来,国会の論議などというものは,そのようなものかもしれない.先日,来崎された羽田日本医師会長のうら話し的発言を聞いてもそうであるが,案外,国会議員の先生方は,これだけ問題になっている改正案なのに,健康保険法の成り立ちや今回の改正のポイント,どうして日本医師会が反対しているのか,その理論的根拠はどこにあるのかなどについては,あまりご理解にはなっていないような感触を受けた.
国民の関心もそのような程度であるのかと危ぶまれるが,しかし,連日のテレビや新聞で報道されることからは,危機迫る感がないでもない.今にも日本の医療が崩壊するのではないかとか,将来の国民の健康が守れないようになるのではとの心配である.
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