メディカルエッセイ
完壁なインフォームドコンセントはあり得るか?
魚住 二郎
1
1九州大学医学部泌尿器科
pp.88
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902272
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インフォームドコンセントを強いて日本語にすると「説明と同意」になる。「説明」から「同意」に至る過程には当然のことながら「理解」と「判断」が含まれていなければならない。すなわち,医師から説明を受けた患者がその内容を理解したうえで判断を下し,医師の提示する医療行為に同意するというのが全過程となる。しかしながら,実際の現場では「理解」と「判断」という過程が欠落していることが稀ではない。医師は後々のトラブルを避ける目的で,予定している手術の内容とそれに伴って起こり得る合併症についての説明を機械的に行い,患者はおぼろげな理解のまま同意書にサインをする。最悪の場合,同意書は医師の免罪符となりかねない。
尿路変向を伴う泌尿器科の手術においては,術式の選択におけるインフォームドコンセントが重要なことはいうまでもないが,主治医にとって患者あるいは家族の十分な理解が得られるような懇切丁寧な説明は容易なことではない。
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