とびら
最近思うこと
大橋 正洋
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター
pp.357
発行日 1985年6月15日
Published Date 1985/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103335
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私がリハビリテーション医への道を進みはじめたのは,母校の脳神経外科学助手を辞めて,荻島秀男先生がリハビリ部長を務めていらした東京都養育院病院へ行った昭和48年からである.最初のころの心境を思い起こしてみると,リハビリテーションとは,歩けない人が再び歩くようになる奇跡を起こす魔法の一種であるかのように考えて,魔法使いの弟子にでもなりに行くような期待を持っていた.しかしリハビリの現場に関わってみると,リハビリ医学は魔法にはほど遠く,それどころかその実態を理解することがなかなかできず,当時の仲間達と頭をひねりながら過ごしたものであった.10年以上が経過した今となっては,あとにもひけず,障害学的見地から慢性疾患に伴う諸問題を扱う医学的スペシャリストとして自分を位置づけようと努力している.
最近は,リハビリ工学エンジニア達と仕事をする機会が多くなり,エンジニア達の仕事の緻密さと周到な計画性にしばしば驚かされ,我々医師やPT・OTの仕事のすすめかたとの違いに気付くようになった.彼等の仕事は,構造や機能を熟知した器械や材料を組合わせて,設計どおりの能力を発揮するものを創り出すことであり,目的にかなうものであればどのような格好をしていても,どのような原理で働くものであっても頓着しない.それだけエンジニアの仕事には想像の翼をはばたかせる余地があると考える.
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