Derm.'99
最近思うこと
風間 隆
1
1新潟大学皮膚科
pp.148
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902878
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9年ほど前突然,膠原病とその関連疾患および水疱性疾患の専門外来をひとりで引き継ぐことになった.文献や教科書を読みあさり,不安をかかえながら診療した.水疱症は内科では診れないが,膠原病は内科疾患でもある.当大学の膠原病担当の内科学教室は専門スタッフが多いだけでなく,膠原病診療には好都合なことに呼吸器,腎および感染症の専門家も揃っている.それに比べると,ひとりで診療している自分がひどくちっぽけに思われた.当科で診ていた患者に呼吸器や腎合併症が生じ,全面的に内科に任せることになったことも数多い.そんなときは,患者のためだと自分に言い聞かせるが,その信頼に答えられなかったことで自分を責めたり,膠原病診療における皮膚科医の存在意義を疑ったりもした.
最近は膠原病各疾患の皮疹の多彩さに戸惑ったが,数年すると皮疹の診断だけではなく,それぞれが意味することも理解できるようになり,自信が少し出てきた.また,皮膚科医が中心になって治療すべき症例が多いことも知った.膠原病内科の医師も皮疹の知識と経験は豊富で,典型的な蝶型紅斑のような皮疹は見誤らないが,酒皶や脂漏性皮膚炎をそれと誤る場合も少なくない.我々皮膚科医が日常診療の中でその他の皮膚疾患を多数経験しているからこそそれらの鑑別ができるのに対し,それがない内科医にはそれらの鑑別は難しいのだろう.逆のことが内臓病変の診療についても言えると思う.臓器障害が生じたときは迷わず専門内科に相談することにしている.また,内科からの皮疹評価の依頼には丁寧に答え,皮膚科医の実力を見せるようにしている.その努力の甲斐があってか,9年前と比べるとその依頼が多くなったようである.
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