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セミナー 臨床医のための生物統計学抄説・9
多変量解析
Multivariate analysis
樋之津 史郎
1
,
大橋 靖雄
2
Shiro Hinotsu
1
,
Yasuo Ohashi
2
1東京大学医学部薬剤疫学教室
2東京大学医学部 健康科学・看護学科 疫学・生物統計学教室
1Pharmacoepidemiology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
2Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Health Science and Nursing, Faculty of Medicine, University of Tokyo
キーワード:
Cox回帰
,
比例ハザード性
,
生存時間解析
Keyword:
Cox回帰
,
比例ハザード性
,
生存時間解析
pp.827-832
発行日 1997年10月20日
Published Date 1997/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902163
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はじめに
生存時間解析を行っている最近の臨床研究論文を読んでみると,Cox回帰花盛りである。生存時間解析において,柔軟でかつ既存のパッケージで手軽に利用できる多変量解析はCox回帰しかないこともあるが,十分に注意して使わなければならないことは他の解析手法と同様である。日本語で書かれた統計の本にあまりお薦めできるものがない中で,多変量解析についてはお薦めの本がある。「医者のためのロジスチック・Cox回帰入門」1)がそれで,読みやすい分量の中で,具体的な例(肝臓の領域)を用いて説明してある。この本は結果が「生存・死亡」などの二値データであるロジスティック回帰と,生存時間を対象としたCox回帰を扱っている。これが出版されたときは,「とてもわかりやすい良い本が出た」という印象を持ったが,臨床医の感想は「まだ難しい」というものであった。特に比例ハザードモデルは,その概念自体がわかりにくく,指数を使った説明に出会うと臨床医は拒絶してしまう傾向にあるように推察する。
そこで.今回のセミナーではできるだけ直観的な理解が可能な形でCox回帰について説明し,事例を通じて計算する際の注意点を述べておきたい。
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