小さな工夫
腎エコー上の軽度水腎症例における排尿後の腎エコー
西村 泰司
1
,
小林 京子
2
1日本医科大学附属第一病院泌尿器科
2藤間病院超音波検査室
pp.164-165
発行日 1997年2月20日
Published Date 1997/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901989
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健康診断により発見された顕微鏡的血尿に対する精査として,腎・膀胱エコーが一般化しつつある。藤間病院超音波検査室では年間16,000件と件数も多く,技師の平均経験年数も11年と長いため正診率が高く,上記精査において排泄性腎盂造影(IVP)は省いている。その際のエコーで図1左上,右上程度の水腎を認めるも水尿管がない場合,「まず心配ないだろう」と経験的に考えるものの,万が一を考えるとIVPをするか否か悩む。一般にIVP施行時に膀胱が尿で充満していると,腎からの尿の排泄が悪いため良い腎盂像が得られないのは良く知られている。顕微鏡的血尿に対してエコーを行う際は膀胱に十分尿を溜めているわけで,今回呈示した症例では図2程度の溜まり具合であったが,膀胱に尿が溜まっていることによる軽度の水腎であったようで,排尿後再度腎エコーを施行したところ水腎は消失していた(図1,左下,右下)。本症例は40歳の女性であったが,過去3か月における顕微鏡的血尿に対する腎・膀胱エコーを施行した男女合わせて258例中,このように排尿後両側の水腎が消失した症例を3例経験した。
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