交見室
前立腺肥大症におけるsymptom scoreについて,他
服部 一紀
1
1茨城西南医療センター
pp.1068-1070
発行日 1995年12月20日
Published Date 1995/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901658
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臨床的に前立腺肥大症の程度や治療効果をどのように判定したらよいかという問題は,古くて新しい,そしてやっかいな問題です。自覚症状が重要であることは間違いありませんが,それを正確に評価することは決して容易ではありません。最近,日本においてもI-PSS symptom scoreが一般的になりつつあります。しかし,筆者が勤務している病院は,いわゆる田舎の農村部にある病院であるからかもしれませんが,このI-PSS symptom scoreによる評価には疑問を感じることもしばしばです。
まず,英文を和訳したせいもあるかと思われますが,質問の内容や選択肢は,特にお年寄りにはわかりにくいようです。とりわけ,選択肢の「5回に1回未満」とか「2回に1回未満」といった頻度についての表現は,理解しにくいのではないでしょうか。「あまりない(5回に1回より少ない)」,「時々ある(3から5回に1回ぐらい)」と,より具体的な表現で書いてある質問表もありますが,まだこちらの方がわかりやすいといえましょう。質問者のバイアスが入らないよう患者自身で記入してもらうため,あらかじめ患者に内容をよく説明する必要があると思われますが,忙しい外来の合間ではなかなか難しいことです。
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