交見室
阪神淡路大震災で遭遇した1症例,他
小池 宏
1
1兵庫医科大学
pp.439-441
発行日 1995年5月20日
Published Date 1995/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901525
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1995年1月17日未明,阪神淡路地区は大地震に見舞われた。人的・物的被害状況はすでに様々な報道機関によって報告されているが,本学施設も多大な被害を受け,自家発電で供給される電力は僅かで水・ガスの供給は停止した。余震がなお続く中で,入院中の患者の心理的不安は大きく,従来通りの診療が可能となるまで相当の日数が必要と推測された。当科には約50名が入院中であったが,術前で緊急性なく帰宅可能もしくは術後でも経過が良い患者はすぐに外泊または退院を許可した。腫瘍などで早急な外科的治療が望ましい患者や腎移植術後の患者は,引き続き診療が可能な施設に紹介することとした。しかし,紹介のための電話は通じにくく他施設との連絡は困難を極めた。
このような大混乱の中で,地震の直後から多数の患者が次から次と被災地(西宮市)にある本学附属病院に搬送されてきて,救急部は混乱を極めた。同日夕,救急部から血尿患者の往診依頼を受けた。
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