交見室
腎盂内硝酸銀注入の合併症,他
藤田 公生
1
1浜松医科大学
pp.1082-1083
発行日 1994年12月20日
Published Date 1994/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901359
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9月の硝酸銀腎盂内注入の合併症の報告(臨泌48巻10号757頁,鈴木正泰論文)を興味深く読ませて頂きました。
現在ではこのような症例は軟性腎盂鏡で出血点を見つけるべきであるという人もいるかも知れません。血管腫か動静脈瘻のような局在性の原因疾患があったから,注入ないし洗浄圧が高かったために,そこから硝酸銀が吸収されて腎に高度な変化を引き起こして萎縮に陥ったのではないかと考える人もいるでしょう。その可能性はもちろん文中にも述べられています。注入量がわずか3mlであったとのこと,また1週間後の単純撮影で腎盂腎杯から尿管におよぶ沈着がみられていることから,尿路上皮に広範に異常反応が起きたようで,その発生機序に興味がもたれます。注入前に尿管炎などの尿路上皮病変が存在していた可能性もあります。
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